家庭訪問は恋の始まり

嘉人くんたちは、ローテーブルに並んで仲良くひとつの色鉛筆を一緒に使って絵を描いている。

瀬崎さんは、それを立って眺めていた。

「瀬崎さん、ごめんなさい。
部屋が狭くて、座れませんよね。
こんな所ですみませんが、どうぞ。」

私は、子供たちの後ろのベッドの掛け布団を半分捲って、腰を下ろし、瀬崎さんを呼んだ。

「ありがとう。
じゃ、お言葉に甘えて。」

瀬崎さんは私の隣に腰を下ろすと、耳元で囁いた。

「くくっ
2人で初めてベッドを使うのが、
こんな形だとは思わなかったな。」

っ!!

私が言葉をなくしていると、さらに瀬崎さんは楽しそうに笑う。

「くくっ
夕凪、顔、赤いよ。
子供たちが気づいたら、変に思うでしょ?」

は!?
誰のせいだと…!!

私が瀬崎さんを軽く睨むと、瀬崎さんは子供から見えないのをいい事に、私の腰に手を回してきた。