家庭訪問は恋の始まり

私は瀬崎さんの方を見て、

「という事になりました。
ごめんなさい。
こんな事になって。」

と謝る。すると、

「いや、これは嘉人のせいだから。
むしろ、正月からご家族に気を遣わせて
申し訳ない。」

と謝り返されてしまった。

私たちは、瀬崎さんの車で実家に向かう。


うちは、田舎の農家だから、土地だけは広い。

瀬崎さんの車には不似合いな納屋の前に停めてもらって、母屋に入る。

餅つきもできる広い土間を抜けて、居間にいる両親に瀬崎さんは挨拶をする。

コンビニで急遽買った菓子折りを手渡し、

「本当にお正月からご迷惑を承知で
押しかけまして、申し訳ありません。」

と平謝りだ。

うちはみんな大雑把な人間ばかりだから、そんなに気にしなくていいのに。

「いいえ、なんのお構いもできませんけど、
好きなだけ遊んでらしてくださいね。」

母がよそ行きの顔で挨拶する。