家庭訪問は恋の始まり

私が3つ目のポテトに手を伸ばした時、店の入り口が開き、来客を知らせるチャイムが鳴った。

私がそちらに顔を向けると、

「ああ!! 夕凪先生!!」

と嘉人くんの元気な声が店中に響いた。

「嘉人さん! どうしたの?」

私は、白々しく思いながらも、嘉人さんに問う。

「僕、スキーに行ってきたの。
でね、パパが飲み物を買いたいって言うから、
寄ったの。」

嘉人くんは、店中に響く声で説明してくれる。

「嘉人さん、分かったから、少し小さな声で
話せるかな?」

私がそっと注意すると、嘉人くんは、はっとしたように、慌てて手で口を押さえる。

ふふっ
かわいい。

「先生の生まれた家がこの近所なの。
この子は、神山美晴ちゃん。
先生の姪なのよ。
みぃちゃん、この子はね、ゆうちゃんの担任
してる子で、瀬崎嘉人さん。
2人とも1年生だから、お友達になれるかも
しれないね。」

私は2人を紹介する。