家庭訪問は恋の始まり

「夕凪、散歩がてら、連れてってやってよ。
今日は友達の家にも行けないし、いとこが
いるわけでもないし、退屈なのよ。」

と母が嫌味を交えて言う。

はいはい。
私がいつまでも結婚しないから、遊び相手のいとこができないんです。
申し訳ありません。

私は、心の中で母の嫌味に返事をするものの、どうするべきか考えあぐねていた。

美晴を連れていけば、瀬崎さんと会った事を美晴は家族みんなに言うだろう。

その上、美晴が一緒じゃ、そのままついでにドライブという訳にはいかなくなる。

かといって、たかがコンビニに美晴を連れていけない理由も思い浮かばない。

仕方ない。

「じゃあ、みぃちゃん、外は寒いから、暖かく
してきたら、連れてってあげる。」

私は諦めて、美晴を連れて行くことにした。

瀬崎さんには、事情を話して謝ろう。