えっ? あっ!
嘉人くん!!

「嘉人くんは、今、1人でお留守番してるん
ですか?」

「いや、今日は実家でクリスマスパーティーを
して、そのまま泊まってるよ。
実家には大きなツリーがあるからね。」

ほっ…

「それならよかった。」

私が胸を撫で下ろすと、

「夕凪、愛してる。」

と囁いた瀬崎さんに口づけられていた。

玄関で靴を履いたままの瀬崎さんと、スリッパを履いて一段上にいる私。

いつもより小さくなった身長差のお陰で、腕を背中に回しやすい。

私は、きらめく指輪をはめた手で、瀬崎さんの背中にギュッと抱きついた。

瀬崎さんは、身を起こして私の頭に手を置くと、

「来年は朝まで一緒だから。」

と言い残して、帰っていった。

私の左手には、結局、返せなかった指輪がまばゆい光を放っていた。