家庭訪問は恋の始まり

「ねぇ、瀬崎さん。」

『ん?』

「嘉人くんは、瀬崎さんが私に電話してる事、
知ってるの?」

私は、恐る恐る聞いてみる。

『知らないよ。
嘉人が知ったら、いつ誰に喋るか分かった
もんじゃないからな。
そんなの、夕凪に迷惑をかけるだろ?』

ほっ…
よかった。

「うん。ありがとう。」

『それに、嘉人に言ったら、あいつ、絶対
妬くから、めんどくさいし。』

ん? 妬く?

「大好きなパパを取られて、怒るって事?」

『くくっ
違う、違う。
大好きな夕凪先生を取られて、俺に文句言う
って事。
絶対、次から嘉人が起きてる時に電話しろ
って言うに決まってる。』

「ふふっ
まさか。」

『まさか、じゃないよ。
夏にダムに行った時だって、自分は夕凪と
手を繋いで、俺には触らせなかっただろ?』