『今まで、その当たり前の事をしてもらえ
なかったんだ。
夕凪に出会えて良かった。俺も、嘉人も。』

「そんな… 」

『じゃ、夕凪の晩御飯が遅くなるといけない
から、切るよ。
また、明日。』

「はい。」

『おやすみ、夕凪。愛してるよ。』

「おやすみなさい。」



瀬崎さんは、こうして毎日、電話をくれる。

仕事と子育てと家事で、きっと私より忙しいのに。

だけど、私は瀬崎さんの好意に何も返せない。

デートもできなければ、好意を告げる事すら出来ない。

瀬崎さんは、そんな私で本当にいいのかな。

っていうか、そもそもなんで私なんだろう。

かっこいいし、社長さんだし、きっと私なんかより素敵な女性は、周りにたくさんいるだろうに。

最初に、真面目で一生懸命なところがって言ってくれたけど、裏を返せば、私にはそれしか取り柄がない。