『明日の弁当を仕込んでたら、つい時間を
忘れちゃってさ。
さっき、時計を見て、焦ったよ。』

「あ、お弁当…」

『うん。
夕凪は? 給食はないだろ?』

「うん。
でも、職員はまとめてお弁当をとるから。」

『そうなんだ。
できる事なら、夕凪にも弁当食べさせて
やりたかったけど、無理だもんな。』

「うん。」

そんなの、絶対無理。

『そうだ!
春、お花見行こう。
弁当持って。』

春…
行けるかな?

「うん。」

行きたい。

そう思ったら、つい返事をしてた。

『夕凪も明日は、早いんだろ?』

「うん。」

『じゃあ、おやすみ。
また明日、掛けるよ。』

「うん。おやすみなさい。」

『夕凪、愛してる』

「うん…」

瀬崎さんは、毎回、想いを伝えてくれる。

なのに、私は、「うん」としか言えない。

これでいいのかな。