家庭訪問は恋の始まり

はっ!!
そうだった。
この子は、つい最近まで虐待を受けてたんだ。

「嘉人さん。
嘉人さんは知らないかもしれないけど、
怒っても叩かないのは、当たり前の事
なんだよ。
誰も嘉人さんを叩かないし、嘉人さんも誰も
叩いちゃいけないの。
だから、嘉人さんがもし誰かに叩かれたら、
それを当たり前だと思わずに、すぐに
お父さんでも先生でもいいから、言うんだよ。
いい?」

「うん、大丈夫。
ママがいなくなったから、もう叩かれないよ。
それにね、僕、夕凪先生とお約束したもん。
怒っても叩かないし押さないよ。
頑張って我慢するの!」

なんていい子!!

私は感動して思わず、涙ぐみそうになってしまった。

「嘉人、一つ目のトンネルだぞ!」

いつの間にか、山道に差し掛かっていて、前方にトンネルの入り口が見えていた。

そこから、嘉人くんは、「ひとつ」「ふたつ」とトンネルを数えていく。