家庭訪問は恋の始まり

瀬崎さんは、山奥のダムへ向かって車を走らせる。

っていうか、私を家に送るドライブじゃなかったの?

あれは、武先生を帰す口実!?

映画館で会ったのも、絶対、偶然じゃないし、瀬崎さんって、結構、策士!?

社長さんって言ってたし、もしかして計略とか謀略とか得意なの?

「夕凪先生、口数が少ないけど、車酔いした?」

瀬崎さんが心配してくれる。

「いえ、ちょっと考え事をしてただけです。
すみません。」

「くくっ
何、考えてたの? 気になるなぁ。」

「先生、何々?」

嘉人くんまで聞いてくる。

「別に大したことじゃありませんよ。
瀬崎さん、社長さんだったんだなぁって、
思い出してただけです。」

すると、瀬崎さんが横目でチラリと不思議そうな視線をくれる。

「あれ? ご存知ありませんでしたか?
最初にお渡しした名刺にも書いてあったと
思いますが。」