家庭訪問は恋の始まり

だけど、満足いかないのは、遊び足りない嘉人くんで…

「先生、遊ぼ!」

と私の横に立ち、私の手を取る。

「ええ!?
先生、お腹いっぱいで、もう動けないよ。
お家に帰ってお昼寝したいくらい。」

私がそう言うと、

「じゃあ、僕ん家においでよ。
先生、絵本読んで。」

絵本!

そうだ。

嘉人くんは、お母さんがいなくなったばかりだった。

読み聞かせも以前のようにはしてもらえないのかもしれない。

「嘉人さんは、どんなお話が好きなの?」

「今日の映画みたいなの!
僕ん家にもあるんだよ。
違うお話だけど。」

嘉人くんは、にこにこととても嬉しそうに話す。

「同じシリーズの違うお話があるって事?」

「うん。」

嘉人くん家に行くのは、立場的にも問題があるし、何より今日は、武先生の誕生祝いに来ているんだから、武先生を残していく訳にはいかない。