家庭訪問は恋の始まり

すると、瀬崎さんは、にっこりと笑って、

「なんで、先生が謝るんですか?
大切なことを嘉人に教えてくださったんです。
私がお礼を言うべきところでしょう?
夕凪先生、ありがとうございます。」

と言ってくれた。

よかった。

当たり前の事を注意しても、今は、保護者からクレームがつくことも少なくない。

先生の権威なんてとうの昔に失墜してるから、仕方ないんだけど。


私たち4人が入店すると、すぐに店員さんがやってきた。

「お待ちしておりました。
どうぞ、こちらへ。」

瀬崎さんが連絡をしてくれていたようで、奥の個室に通された。

10人ほど入れる小さなパーティ会場のような部屋。

部屋の隅には、アップライトのピアノ。

「へぇ。こういうお部屋もあるんですね。」

私はキョロキョロと部屋を見回す。