家庭訪問は恋の始まり

そこで武先生が口を開いた。

「じゃあ、嘉人さん、とりあえず、映画を
見てから考えようか。
先生、ポップコーンを買ってくるけど、
嘉人さんも食べる?」

それを聞いて、嘉人くんは嬉しそうに目を輝かせる。

「うん!!
僕、キャラメル味のがいい!!」

「了解!
じゃあ、買ってくるから待ってて。」

武先生が言うと、瀬崎さんは慌てて、

「いえ、嘉人の分は、私が買いますから、
大丈夫です。
お気遣い、ありがとうございます。」

と言って、一緒に列に並んだ。


結局、私の分も武先生は払わせてくれなくて、また奢ってもらった。


それらを持って、シアター内に入る。

嘉人くん達は、私達の三列後ろの席だった。


私は、昔からつい感情移入しすぎてしまうところがあり、今日もうっかり泣いてしまった。