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気づけば、夜になっていた。

さっきまで昼だったのに、さすが、夢だ。


かくかくとした世界は、いつの間にか、学校の屋上に変わっている。



夜の屋上。

ここには、私が、流星群が見たいと言ったら、連れていってくれた。



満天の星降る夜。

私たちは、ピクニックシートの上で、寝ころがった。

頭が痛い。と不満を言って、腕まくらをしてもらった。


星々がささやいているような、夜だった。


「ほんとの優しさは、夜にある」って、何かの本で読んだ引用を、教えてくれたけど、

そんなのキャラじゃないから、笑っちゃった。



でも、今は、確かにそうだと思える。

私は今、確かに優しい夜の中にいる。


辛い現実を、置き去りにして。


あの時、二人で奏でた鼻唄の題名は、なんだったろう。


『哀しみは、いつしか空にのぼって、小さな星になる。

 苦しみは、いつしか天をわたって、眩しい星になる』



二人なら、この先もずっと幸せだと信じられた。


夜空を見上げる。

永い年月をかけて、重なった輝き。

長い歳月を越えて、連なった瞬き。



私は、なんてちっぽけなのか。

私を押し潰そうとする悩みなんて、本当は、なんでもないのかもしれない。




星座をなぞる。

教えてもらった形は忘れたけど。


星空をなぞる。

涙はそれでも、こぼれたけれど。


星々をなぞる。

理由なんてなくても、

見えてくるものが、あるかも知れないから。




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