違う。
詰ませない。

「────待って」


─────ガシッ


ごめん井上さん、強く掴みすぎたよね
急に掴まれるとか怖ぇよな


頭の中からどんどん言わなくちゃいけないことが出てくるのに、


「髪」


馬鹿すぎる。


出てきた言葉がそれって。どうなの。


「えっ、」


「あ、、いや、その、いつもと違ったから」


ゆっくり手を離してからそういう。
今、井上さんの腕を掴んでしまった。


思ったより細くて、びっくりした。
女の子の腕とか、まともに触ったことねーし。


背中が熱い。何で学ランとか着てんの。脱ぎたい。
熱い。井上さんが僕の目を見ている。


心臓がうるさくて、このままだと死ぬんじゃないか。死因・恋煩い とかほんと笑われるから。