「変、かな。多部ちゃんがバス待ってる間やってくれて。あ、もう行かなきゃ」


教室の時計を確認して、ハッとする井上さん。
まじか。
多部さん最高だよって気持ちと、バスのクソ野郎って気持ちが同時に襲ってくる。


まだ、まだ繋ぎとめておきたい。
終わりたくない。


今目の前の井上さんは最高に可愛いくて、誰にも見せたくないんだから。


「触りたい」


「へっ、」


死んだ。
引き止めたいくせになに気持ち悪いこと言ってるんだ。


井上さんは戸惑いながら耳をまた赤くしてゆく。


「嘘、ごめん」


「えっ、…嘘?」


「え」


とっさに訂正したのに、彼女の反応が意外なものだったのでこっちもぽかんとしてしまう。