カラスノウタ

放課後、私は遠藤さんに言われた通りに旧音楽室前にやってきた。

普通の音楽室には授業で入ったことはあるが、旧音楽室は初めてだ。

私は緊張しながらドアをノックして、中に入った。

「失礼します…」

中には、二十人ほどの部員達がいた。

その中に、遠藤さんの姿はない。

二十人が一斉に私に視線を集める。

知らない人達の視線は、どこか鋭くて冷たくて、まるで動物に威嚇されているようだ。

か、帰りたい…。

そう思った時。

「こんにちはー」

遠藤さんがやってきた。

「あ、小山さん来てくれたんだね。ありがとう!」

「あ、うん…」

そこへ、ある一人の女子生徒が近づいてくる。

「小山さんってことは…あなたが小山美鳥さん?」

「はい、そうですけど…」

「ふうん…」

彼女はつま先から頭のてっぺんまで、じっくり見てくる。

嫌な視線だ。

「あ、あの…なにか?」

私がたずねると、

「ああ、いや。別に」

と彼女は冷たく返事をした。