カラスノウタ

「え!?」

「小山さん、まだ部活入ってないでしょ?」

「どうしてそれを…」

私は彼女のことを知っているが、彼女は私のことをあまり知らないはずだ。

それなのに…。

「ちょっと話が長くなるから今は言えないんだけど…放課後、時間あるかな?」

「特に用事はないけど……」

「よかった!じゃあ放課後、旧音楽室に来てね!じゃあ!」

そう言い残して、遠藤さんは自分のクラスに戻っていった。

「え、ちょま…」

私は立ち上がり「待って」と言おうとしたが、その前に授業が始まるチャイムが鳴ってしまう。

仕方なく、私は座り直した。

どうして、私なんかを誘ってきたのだろう。

私は特に歌が上手いというわけじゃないし、和奏ちゃんのようにいい声をしているわけでもない。

それに、帰宅部の人なんて他にいくらでもいるはずだ。

その中で、わざわざ私に勧誘してきた理由って……。

考えても考えても、答えらしいものは浮かばなかった。