カラスノウタ

お母さんが何かを言っているが、私の耳には入ってこなかった。

脳の処理が追いつかない。

どうして、和奏ちゃんが……?

もしかして、私達にも言えないような病気を患っていたとか?

それとも、部活に行く途中に自動車に轢かれてしまったとか?

外に出ただけで全身を焼かれるような日射しで倒れそうになるこんな季節だ、もしかしたら熱中症で?

私は、色々な可能性を考えていた。

しかし、登校日に担任の山崎(ヤマザキ)先生から聞かされたのはどれでもなかった。

和奏ちゃんは、自殺だったのだ。

そうこう考えているうちに黙祷と全校集会が終わり、私達は教室に戻らされた。

「黒木が何か悩んでいたとか、誰かにいじめられていたとか、不審者に付き纏われていたとか、他にも何か些細なことでいい。知っていることがあったら、書いてほしい」

そう言って、先生は私達にプリントを渡した。

私は、そのプリントに字を埋めることはできなかった。

他のみんなも、そうだった。