カラスノウタ

可愛い声と高い歌唱力を持つ和奏ちゃんは、合唱部に所属していた。

一年生のときソロパートを任されたこともあり、合唱部の期待の星だと言われていた。

二年生になってからは合唱部の部長となり、秋にある大きな大会に向けて練習をしていた。

また彼女と同じクラスになった私は、

「絶対大会見に行くからね!」

と約束をしていた。

そして、これから合唱部の練習も本腰に入っていくはずだった夏休み。

プルルルル

突然、家に電話がかかってきた。

お母さんが受話器を取る。

電話を終えたお母さんは、暗い面持ちで私に話しかけた。

「美鳥(ミドリ)…クラスに黒木さんっていう女の子がいるでしょう?」

「うん、いるけど…それがどうかしたの?」

「黒木さん……亡くなったんだって」

「え…?」

お母さんの言っていることが、最初は全く理解ができなかった。

和奏ちゃんが、亡くなった?

「お葬式は親族だけで行われるそうだから…」