会議室には、誰も遅れることなく、8名が揃った。
「こんにちは。本日は、お忙しい中、弊社の中途採用にご応募頂き、誠にありがとうございます。弊社は、学力よりも、人柄、人間性を重視しておりますので、筆記試験は、行いません。面接のみで、採用か、不採用か判断させて頂きます。なにか質問のある方はいらっしゃいますか?」
みんな真面目に背筋を伸ばししっかり前を見ている。見事な緊張感いっぱいで包み込まれた空間に私と8名がいる。
聞こえるのは、微かな風の音だけ。
「それでは、面接を1人ずつ始めます。呼ばれた方から前に来て下さい。待っている間は、アンケートにご協力お願いします。尚、こちらは、審査対象外ですので、記名は必要ありません。どちらも終わられた方は、速やかにお帰り下さい。よろしくお願いします」
「では、真田さん、どうぞ」
私は隣りの個室へ案内した。
真田さんは、写真で見るよりずっと童顔で可愛らしかった。短髪の黒髪、鼻筋の通ったバランスの取れた顔、背は高いものの、かなり痩せていた。
一番に呼ばれたからか、かなりの緊張が手に取るようにわかった。
「こちらに座って下さい」
私はあえて、クールに言ってみた。
「はい、真田司です。よろしくお願いします」
そう言って頭を深く下げて腰掛けた。
「では、まず、前職を辞めた理由はなんですか?」
普通なら、志望動機を最初に聞く企業が多いだろうが、中途採用の場合、あえて、前職に触れ、如何に自己アピール出来るかを見る。
「はい、私が大学で、学んできたことがなかなか生かせる環境ではなく、もっとやりがいのある仕事に就きたいと思いました。そんな時に急成長している御社の中途採用の募集を見つけ、ぜひ、こちらで、自分の忍耐力、継続力を存分に発揮し、御社に貢献できたらと強く思いました」
ハキハキと答える、視線、顔つき、態度は問題ない。
「わかりました。あ、あれ、真田さん、既婚者ですか?」
私は履歴書に、小さく書いてある、配偶者あり、に丸がついてるのに気づいた。
よかった、穂乃香さんとは、関係なさそうだ。
「はい、そうです。」
「真田さんは、兄弟はいますか?」
「はい、兄が居ます」
よし、大丈夫だ。他人だ。
私はなんだかほっとした。
「あと、生徒がわからないと泣きだしたら、どう対応しますか?」
「はい、泣かないで大丈夫だよと、優しく声をかけて、ゆっくりどこがわからないか、遡って一緒に見つけたいと思います。」
「わかりました。ありがとうございます。」
私は、少しずつ笑顔を見せた。
「最後に、何か質問は、ありますか?」
「はい、塾長になるには、どれくらい経験が必要ですか?」
やや、緊張もほぐれてきた様子。
「うちは実力主義なので、半年でもなれますよ」
「わかりました。頑張りますのでよろしくお願いします」
うん、なかなかいい。
礼儀もわきまえている。
清潔感もある。
「わかりました。お疲れ様でした。結果は近日中に連絡致します」
「はい、ありがとうございました。失礼致します」
「こんにちは。本日は、お忙しい中、弊社の中途採用にご応募頂き、誠にありがとうございます。弊社は、学力よりも、人柄、人間性を重視しておりますので、筆記試験は、行いません。面接のみで、採用か、不採用か判断させて頂きます。なにか質問のある方はいらっしゃいますか?」
みんな真面目に背筋を伸ばししっかり前を見ている。見事な緊張感いっぱいで包み込まれた空間に私と8名がいる。
聞こえるのは、微かな風の音だけ。
「それでは、面接を1人ずつ始めます。呼ばれた方から前に来て下さい。待っている間は、アンケートにご協力お願いします。尚、こちらは、審査対象外ですので、記名は必要ありません。どちらも終わられた方は、速やかにお帰り下さい。よろしくお願いします」
「では、真田さん、どうぞ」
私は隣りの個室へ案内した。
真田さんは、写真で見るよりずっと童顔で可愛らしかった。短髪の黒髪、鼻筋の通ったバランスの取れた顔、背は高いものの、かなり痩せていた。
一番に呼ばれたからか、かなりの緊張が手に取るようにわかった。
「こちらに座って下さい」
私はあえて、クールに言ってみた。
「はい、真田司です。よろしくお願いします」
そう言って頭を深く下げて腰掛けた。
「では、まず、前職を辞めた理由はなんですか?」
普通なら、志望動機を最初に聞く企業が多いだろうが、中途採用の場合、あえて、前職に触れ、如何に自己アピール出来るかを見る。
「はい、私が大学で、学んできたことがなかなか生かせる環境ではなく、もっとやりがいのある仕事に就きたいと思いました。そんな時に急成長している御社の中途採用の募集を見つけ、ぜひ、こちらで、自分の忍耐力、継続力を存分に発揮し、御社に貢献できたらと強く思いました」
ハキハキと答える、視線、顔つき、態度は問題ない。
「わかりました。あ、あれ、真田さん、既婚者ですか?」
私は履歴書に、小さく書いてある、配偶者あり、に丸がついてるのに気づいた。
よかった、穂乃香さんとは、関係なさそうだ。
「はい、そうです。」
「真田さんは、兄弟はいますか?」
「はい、兄が居ます」
よし、大丈夫だ。他人だ。
私はなんだかほっとした。
「あと、生徒がわからないと泣きだしたら、どう対応しますか?」
「はい、泣かないで大丈夫だよと、優しく声をかけて、ゆっくりどこがわからないか、遡って一緒に見つけたいと思います。」
「わかりました。ありがとうございます。」
私は、少しずつ笑顔を見せた。
「最後に、何か質問は、ありますか?」
「はい、塾長になるには、どれくらい経験が必要ですか?」
やや、緊張もほぐれてきた様子。
「うちは実力主義なので、半年でもなれますよ」
「わかりました。頑張りますのでよろしくお願いします」
うん、なかなかいい。
礼儀もわきまえている。
清潔感もある。
「わかりました。お疲れ様でした。結果は近日中に連絡致します」
「はい、ありがとうございました。失礼致します」



