私は脇目も振らず、本屋さんへ向かった。
わずか100メートルぐらいの距離に、本屋さんがある。

少し息を荒らしながら、本屋さんについた私は【週間現代】という雑誌を探した。

必死で、上下左右前後、見渡す。

「あ、あったー」
思わず声に出す。

私は急いでページをめくった。

落ち着け、私。
さっきの可愛さをとり戻して。


「…ん?……ない…」

最初から、最後まで、何度も確認したが、そのような記事はない。

私は、たまたま近くにいた店員さんに聞いた。
「あ、あの、これは…」

「あ、これは、本日発売ですよ。どうされました?」

え?
じゃあ、ひとつ前の雑誌?

「あ、この前の雑誌は、ないですか?」

「うーん、ちょっと待って下さい。見て来ます」

私はただ願うのみ。
ただ、一方で、気にするなという囁きも聞こえてきた。
見たら、私はまたショックを受けるに違いない。
傷つくのはわかってる。



「すみません、完売でした」
ぺこりと頭を下げる店員さん。

「わかりました。ありがとうございます」

これで良いんだ。
気にしちゃいけない。
私は、翔太郎を信じる約束したんだから。


真実はひとつなんだから。


私は、両手で顔をパンパン叩き、髪型をきちんと整え、ゆっくりと帰宅し始めた。