穂乃香さんと2人かぁ…
翔太郎と丸一日一緒。
ちょっぴり羨ましくもある。

生徒達も綺麗な色っぽいお姉さんに興奮するに違いない。

私は家事をしながら、穂乃香さんのことばかり、考えていた。


ピロロン

「ん?」
私はいつものリビングのテーブルに置かれたスマホを見た。

「ほ、穂乃香さんだ。あの時、交換したんだったー」
私は思考回路をリセットし、LINEのスマホ画面を見た。


『おはようございます!
田辺さん、今日から、よろしくね。
貴社に貢献出来るように精一杯頑張ります。
あと、懐かしい写真見つけたよ。』


「こ、これ、カップルみたいじゃん…」
私はため息しか出ない。
なんだろ?
仲良しアピール?
穂乃香さんは、彼氏いないのかな?

あ、あーもしかして、穂乃香さんは、翔太郎と私の関係を知らない?
きっと仕事上の良きパートナーとしか知らないのでは?


翔太郎なら、こういうことは、確かにわざわざは言わないかもしれない。

私は咄嗟に翔太郎に電話をかけた。


「もしもし」

「もしもし、今穂乃香と合流した。わりぃ、また……」

「ちょっと待って、ひとつだけ確認したいの。穂乃香さんは、私達の関係知ってるの?」

「多分わかってるよ、じゃあな」


私は目頭が熱くなった。握りしめるスマホ。

よかった。それなら、大丈夫だよね?


「あ、穂乃香さんに返信しなきゃ…」


『お疲れ様です。
こちらこそ、よろしくお願いします。
楽しみにしています!』


本心は、ちょっと微妙なんだけどね。



「クルミ、翔太、ご飯だよー」

ちょっとだけ、クルミを翔太郎のケージに入れてみた。
クンクン臭いを嗅いで、クルミは、ちょこちょこ動き回る。翔太は、びっくりしたようだったが、だんだん警戒心が薄れていく。

私は瞬きもしないまま、目をミラーボールのようにして凝視していた。

大丈夫そうな気がしてきた。
仲良くなるかも。
よし、今日はここまで!また明日、遊ぼうね。
私は、クルミを元のピンクのケージに戻した。


私の朝の毎日の日課が終わった。