私達二人は、久しぶりのデートに胸を躍らせながら、仲良く車に乗り込んだ。
車の中はポカポカ。
私の心もポカポカ。
翔太郎の心もそうあって欲しい……

ふと心の中で色々足掻いてみる。

うふふっー

「さあ、行こうか」
翔太郎の元気な声でさらに私の気分は盛り上がった。

「うん、で、どこ行くの?」
私は助手席から、少しだけ翔太郎に顔を近づけて聞いた。


「ちょっと田舎にね。海も………あ、あとはお楽しみ」

「う、海?」
海が大好きな私は異常なくらいの反応をした。


車は順調に大都会を抜け、郊外を走っている。窓から見える景色は、私にたくさんの癒しと安らぎを与えてくれた。

「美園…手を出して」
優しく甘く、でも渋い声で言う翔太郎。

「ん?………はい」
私は不思議な感覚を抱き、運転席の翔太郎へ手を差し出した。

ギュッ、ギュッ

翔太郎は力強く私の手を握った。

「今日はずっと手を繋いでいよう」
翔太郎の甘々なその言葉に私は全身震え立つ。
し、し、心臓が痛い。
破裂する。
キュンキュンする。


いい加減に、私も慣れたらよいはずなのに、
何故か出会った頃より今現在の方が爆発しそうなくらいときめく。


私は、翔太郎が包み込んでくれている2人の右手と左手を私の左の手で柔らかく覆いかぶせた。

「ありがとう、翔太郎」
私は、最高の笑顔でそう言った。




車は左右前後、田畑しかない景色に変わって来ていた。のどかなほっこりとする優しく温かい風景。


「もう少しだから」

「うん、わかったぁ」
ちょっと甘えた声で返事をしてみた。

翔太郎は、握った手を私の右頬にあてた。そして、今度は頭に乗せて、ポンポンを3回してくれた。




「もうすぐ海も見えるよ」


「ほんと!?」
私は外の景色に釘付けになった。