私はゆっくりと歩き、ひとまず帰宅した。

「クルミ、友達?彼氏!?連れてきたよ」

私はそう声をかけながら、買ってきたハムスターに餌と水の準備をした。
ケージの中をこそこそ探索しているかのようだ。
私はじっと見つめていた。

やっぱ飽きないな。


名前はもう決まってる。

「翔太、今日からよろしくね」





「翔太って!?」
背後から大きな影が私を襲った。

「わぁーわぁーびっくりしたぁ、翔太郎どうしたの?」
私は心臓が飛び出しそうになった。


「え?クルミに会いたくなってね」

えぇー?どっちのクルミだよ?
私は聞きたくても聞けない。


「翔太か、こいつも俺みたいにカッコ可愛いな」
低くて渋い声で言う翔太郎。


「うん、いつか、翔太郎に似たハムスター飼うつもりだったんだ。一目惚れで買っちゃった」

「ありがとう、クルミも喜ぶよ」
翔太郎は寝不足からか、顔は青白いが、優しい笑顔を取り戻していた。

「よかった、翔太郎帰って来てくれて、もう会えなくなるんじゃないかって思ったよ」

「本当によかった」
全身に熱が走った。それは恋してるという熱。

「美園…」翔太郎は、私が苦しくなるくらいぎゅっと抱きしめてくれた。しばらく離れることはなかった。

「美園、お前は本当にいい女だ。」

そんな言葉をかけられ、私は天高く舞い上がっていく。全身真っ赤ではないか、不安になる。

「美園もクルミも翔太も、みんな俺の宝」


「翔太郎も翔太もクルミも、みんな私の宝」


私達は、顔をお互い見合わせて、おでこをゴツンと合わせ、くすくすと笑った。
そして、久しぶりの甘々のキスを交わした。

ドキドキドキドキ

キュンキュンキューン

そんな音が部屋中に広がった……


翔太郎、私はやっぱりあなたが大好き。

こんなに人を好きになるってあるんだね。
テレビだけの世界だと思っていたよ。
私は今、本当に幸せだよ。
あなたに会えてよかったよ。