「美味しーい!」
私がそう言うと、翔太郎はゆっくり話を始めた。

「俺な、裕福な家庭に育ち、何不自由なく育った。22歳までは。」

私は翔太郎の表情を見ながら、じっと話を聞く。

「でもな、商社に内定していた大学4年の8月、親父の会社が倒産したんだ。突然だった…俺はなんも知らなくて、で、莫大な借金が残されたんだ、そしたら、今度は、9月30日、両親が死んだ…警察は事故で、処理したが、本当の死因は未だ謎なんだ。」

翔太郎にそんな過去があったなんて…私は、動揺したが、翔太郎に気づかれないように毅然とした態度で聞いていた。


「俺はすべてをなくしたが、借金を返すため、工場で朝から晩まで働いた。就職してからも、朝方までバイトを続けた。10年間、その生活を続けたんだ。俺は必死で這い上がった。そして、借金を完済した。」

翔太郎はいろんなことを思い出してるかのように、私に力強い言葉で話しかける。

「俺は10か月前にこの塾を始めた。あと、俺がしなければいけないことは、両親の死の謎を解くことなんだ。警察は車の事故で、処理したが、俺はそんなのは信じてない。ブレーキの跡、なかったし……だから、お金を貯めて、自分の力で、必ず真実をつかんでやるんだ!」


私はスプーンを起き、翔太郎に歩み寄った。
そして、翔太郎、頑張ったんだね、と伝えるかのように、翔太郎の大きな背中に回り、両手で勢いよく抱きついた。

翔太郎は背後から自分の顔の前にきた私の両手をギューっと強く愛情たっぷりに握った。

「きゃぁぁぁ」

翔太郎は、いきなり、立ち上がり私をおんぶした。

「高いか?」
翔太郎は、優しくそう言うと、寝室に向かって歩き出した。