1人………
いや、違う。
翔太郎は、同じ地球上にいる。
離れていたって心はひとつ。
「美園さん、どうしましたか?」
私は、ハッとして、上を見上げた。
「立石君、久しぶりじゃない?どうしたの?」
相変わらずあどけないキュートな表情。
「東京出張の帰りです。お土産を持って来ました。なんて、本当は久しぶりに美園さんに会いたくて。それに、社長いないから、寂しいかなと……」
「うふふ、優しいなぁ……まぁ正解だけどね」
図星だった私は顔を赤らめる。
「どう?大阪は?」
「はい、だいぶ慣れてきて楽しくやってます」
「へぇー、彼女が出来たからじゃないの?上手くいってるの?」
ちょっとからかってみる。
「あはは、はい、美園さんに負けないくらいいい女です。同棲しようかなって今考えている所です」
ハニカミながら、答えるところはやはり可愛い。
「そっかーいいなぁ。一番楽しい時だよね?」
翔太郎と出会った頃を思い出す。ナンパとは知らずにここに来た私。
今考えると、余りにも無防備だった。
「美園さんは、社長とどうですか?連絡きちんと取ってます?」
心配そうに優しく問いかけてくれた。
「うん、連絡は、マメにくれてるよ。こちらの報告もきちんとしたいしね」
私は、翔太郎の温かい笑顔を思い浮かべながら、答えた。
「ラブラブですねー」
「うん、たまに、ドバイ行きたいって言っちゃいそうになるんだけどね」
ちょっとテンションが下がる私。
「そうですよ、美園さん、行けばいいじゃないですか?サプライズですよ」
「サプライズ?翔太郎が好きなサプライズ?」
私は少女のように心をときめかせた。
「会いに行ってあげて下さい。社長きっと喜びます」
立石君は、一生懸命私の背中を押してくれた。
「本当にそう思う?大丈夫かな?」
「はい、僕が保証します。こちらの仕事は、僕がきちんと運営、管理します」
本当に?
翔太郎、会いたい。
会いに行っても良い?
怒んない?
やっぱ完全に軌道に乗るまでは、ダメかな?
でも、でも、怒られてもいい。
やっぱり翔太郎に会いたいんだ……



