「ただいま、クルミ、翔太。すごい雪だったよ」
吐く息は白い。


「何度も指、見てんじゃないよ」
やや恥ずかしそうに言う翔太郎。

「だって、めちゃめちゃ嬉しいもん」
翔太郎は、私の頭をクシャクシャとしながら、私の下顎に手を回す。


ドキン


「あははは、キスの安売りはしない」
ニマニマ笑って言う翔太郎。


「ち、ちょっと………意地悪!」


私は、側にあった、クッションを翔太郎に投げつけた。

「おいおい……あははは…チュウそんなにしたいのか?」




「いや、ああ、忘れてたー」

私は寝室のクローゼットにあるクリスマスプレゼントを思い出した。



慌てて取りに行き、背中に隠しながら、リビングへ戻ってきた。


「翔太郎、私とこれ、どっちが欲しい?」

私は、クリスマスプレゼントをチラリと見せつけた。


「うーん、美園は今はいらない」
わざと真面目な表情をする、意地悪な翔太郎。


「えぇーひどーい」
ちょっと頬を膨らませる。



「ジャーン、はい、私からのクリスマスプレゼントだよ」
私は、満面の笑みを浮かべた。



「おぉー、ありがとうな。なんだろ?」

翔太郎は、勢いよく、リボンを解き、中からCAROLの袋を取り出した。


「CAROLじゃんか、マジ?」

そのまま、翔太郎は、とても目を輝かせながら、箱を取り出し、中を開けた。


「すげーカッコイイ!」

「どう?気に入った?」
私は、翔太郎の顔を覗き込んで、見上げた。


「つけてみる」
翔太郎は、元々つけていた時計を外し、太い手首に新しいCAROLの時計を身につけた。


「似合うよ、翔太郎」


「うん、いいな。気に入ったよ。高かっただろ。ありがとう。大事にするよ」


「うん。よかった。気に入ってくれて」



「今日は、いい日になった。記念日だな。12月25日、クリスマスであり、婚約記念日」

翔太郎は、キリッとした表情で私に言った。


「うん、思い出いっぱいこれから作ろうね」


私達は、溢れそうな幸せでいっぱいだった。