「大原墓地公園まで、お願い致します」
翔太郎が、低姿勢で運転手さんに伝えた。

タクシーは、ゆっくりと出発した。


翔太郎は、無言のまま、私にクローゼットに閉まってあった手紙を渡してきた。

「読んでいいの?」

翔太郎は、コクリと頷いた。


私は、封筒から、手紙を取り出し、噛み締めながら、2回目となる、手紙を読んだ。




明らかに、穂乃香さんから受け取った手紙より、前に書かれたものだと、私は確認出来た。





「美園、自殺じゃなかったんだ……事故だ……」




「…うん」





「……」

それから、翔太郎は無言になった。
ただ、真っ白な銀世界をじっと何かを思い出すように眺めていた。




「もう、着きます。あちらに止めます」

タクシーの運転手さんの声で、2人とも、ビクッとなった。




「ありがとうございました。足元お気をつけて」