翔太郎はまだ寝てるだろうか?

私は、まるでチーターになったかのように2階へ駆け上がった。


「翔太郎?」


あらら、ソファーに半分体が落ちかけているのに、まだ爆睡してる。



「翔太郎、翔太郎、起きて、起きてよ」
必死で、翔太郎を揺さぶる。


すると、翔太郎の目が突然パチリと大きく開いた。


「あははは、起きてたよ。美園、すごい音だったぞーどうした?」

ぐっすり寝たからか、スッキリした表情の翔太郎。


「ん?目が赤い……泣いてたのか?」


私は、興奮状態になり、上手く声を発せない。体温はどんどん上昇していく。胸がはち切れそうだ。



「ほ、穂乃香さんが……来たの……」


「こんな雪の中?なんで?」
翔太郎は、首を傾げる。


「……て、手紙……」


「ん?なんだ?」


「…ずっと預かっていたんだよ………翔太郎のお母さんからの手紙を……」



「何だって?」
翔太郎の切れ長の目から、大きな目玉が勢いよく飛び出した。


「はい、これ……」

私は大切に両手で、翔太郎に手渡した。


「……」


翔太郎は、聞こえるくらい大きな鼓動を上げていた。

そして、封筒から手紙を取り出し、ゆっくり噛み締めながら、読み始めた。


翔太郎の手も私と同じ様に震えだした。

私はじっと隣りに座り見守っていた。




翔太郎の動きが止まった。

翔太郎?
読み終えた?



「翔太郎?」