私は、しばらく扉の前に、座りこみ、ツリーを眺めていた。
私は、思考回路を完璧にリセットしていた。
よし、翔太郎を笑顔で迎えなきゃ。
ん?
聞こえたよね?
車の音…
雪をかき分けて停止した車の音…
ガリガリという音……
私は慌てて立ち上がり、外への扉を開けた。
紛れもない翔太郎の姿がそこにあった。
「翔太郎、おかえりなさい。雪大丈夫だった?」
私は、昼間とは別人のように、嬉しさの余り踊り出す。
「美園、綺麗だな」
「うん、だって、ホワイトクリスマスだよ」
幻想的、神秘的な世界に私達は包み込まれた。
「ふっ、ばぁか、美園のことだよ」
「いやぁーん、翔太郎」
私は翔太郎の太い右腕にしがみついた。
「さぁ、中はいるぞ」
「うん」
私の冷え切った心と体は翔太郎の帰宅で、すっかり温かくなっていた。



