甘く抱いて、そしてキスして…【完】



まだかな、まだかな?
2人はまだ一緒に居るのかな?

やっぱり不安と孤独に苦しめられる。


スマホには、{既読}はついていた。

ふぅー、溜息をつきながら、私は丸くなる。

翔太郎を責めちゃいけない。
温かく迎えよう。
それだけは心に深く決めていた。


スマホをいじってると、立石先生から、LINEが届いた。


『メリークリスマス。ホワイトクリスマスですね。塾の前、雪すごいですよ』


え?
もしかして?


私は、窓を慌てて開けた。

私の方を見上げて、優しく笑いかける立石先生。

「美園先生……」


私は、びっくりしながら、1階へ駆け下り、入り口を開けた。


「立石先生、どうして?」


「いや、やっぱダメですね、僕は」
白い息がこぼれる。

「社長いない気がして、美園先生が、1人な気がして…


「立石先生……寒いから入って」

「いや、ここでいいです。雪見たくて、どうしても美園先生と一緒に…」
立石先生は、手袋とマフラーをはずし、私に差し出した。


「……ありがとう」
暖かいよ。
立石先生、暖かいよ。


「クシュン」

「美園先生、風邪引いちゃいます。」
立石先生は、私の手をグイッと引っ張って、後ろから抱きしめてきた。

「ほら、雪、よく見えるでしょ」

私は立石先生からの体温がどんどん伝わり、寒さが吹き飛んでいた。


「立石先生……私は……」


「なにも言わなくてよいから」


立石先生は、私をものすごい力を込めて、さらに深く抱きしめた。