甘く抱いて、そしてキスして…【完】






「え?」







立石先生、今なんて?
それはどういう意味?
私は……私は……
どうしたら?






「美園先生、すみません、心の奥底にしまって置いて下さい。僕はいつでも助けに来ます」

私を安心させるかのような母性を見せる立石先生。


「………うん」
私は小さく頷いた。


「じゃあ、僕は塾に戻ります。もう少し休んでいて下さいね」


「………うん。ありがとう」


立石先生が立ち上がって、私に背を向けた。



行かないで。
そばにいて。
今夜……
一緒に過ごして……
1人にしないで。



そんな想いに強烈にかられる。


グッと息を飲んだ。


ダメだよ、私。
逃げたらダメだよ。
翔太郎とちゃんと向き合わないと。
立石先生、無理させてごめんね。



「気をつけてね」
私は立石先生に、感謝を込めて言った。