甘く抱いて、そしてキスして…【完】




何分経過したのかわからない。

全身痺れて、まだまだ動けない。

身体中がビリビリする。






「美園先生、美園先生」


「あー来て、ここ」

ガラリと、扉が開いた。

「美園先生、大丈夫ですか?落ち着いて。ゆっくり呼吸して」


「ちょっと中入ります…掴まって下さい」


私は、立石先生に抱かれ、部屋へ入った。

立石先生は、私をソファーに寝かせ、目の前にたまたまあった紙袋を私の口にあてた。


「ゆっくりゆっくり、大丈夫、落ち着いて」






時間の経過と共に、私の過呼吸、痺れは治まった。

「水飲んで下さい」


「…うん」


立石先生は、ホットした表情を見せた。


何も聞かないの?
立石先生は、どうしてこんなに優しいの?
仕事、忙しいのに…
ありがとう。


「ごめんね。立石先生ばかり甘えちゃって」
私は両手で、顔を隠した。


「聞かないんだね…何があったかー」
声はまだ震えている。


「美園先生は、美園先生ですから」
温かい表情で答える。


「立石先生、優しすぎるよ」
私は目を逸らした。






「美園先生、もう僕のとこに来ませんか?」