甘く抱いて、そしてキスして…【完】





「え?」





私は瞬時に、全身の震えから、硬直状態に変わった。
外の気温よりもはるかに私の心と魂は、冷たくなり、あっという間に氷になった。



「………」



何を言ってるの?
私はなんて答えるべき?
穂乃香さんは、ただの幼馴染じゃなかったんだね?
やっぱり、やっぱりー
翔太郎が好きだったんだね……






穂乃香さんがまた口を開いた。



「今日、クリスマスイブじゃない?私と翔ちゃんが付き合い出した記念日なんだ。私は今日翔ちゃんと会ってもいいよね?」







いいよね?って嫌って言わせない言い方じゃない?
ずるいよ。
私だって、今日は楽しみにしてたのに。






「あの、今日翔太郎と約束したんですか?」
ブルブル震える声。



「うん、昼前に電話したわ」



「……翔太郎は、会うって?」




「うん、ディナー予約したわ」







顔面蒼白…
倒れる、私、倒れる。



「……あの、翔太郎は物じゃないです」



バタン


私は車から飛び降りた。
僅かな力を振り絞って……