私は、帰りのバスを待っている間、手帳を取り出し、相関図を書いてみた。

翔太郎の両親がいて、翔太郎が産まれ、幼馴染に穂乃香さんがいて、妹は、真田先生の奥様で、うーんと、真田先生のお父さんは、翔太郎のお父さんの会社にいて────


ん?
そうかー
やっぱりそうなんだ…
わかったかもしれない…


私はスマホを鞄から素早く取り出した。


「もしもし、真田です」


「真田先生?今どこにいる?もう塾?」


「はい、今着きました」


「あ、もう誰かいる?」


「いえ、まだ誰もいません」


「ねぇ、一つ聞いてよい?」


「は、はい」


「真田先生が、うちの塾に来た本当の目的は何?」


「…」


「きちんと正直に答えなかったら、クビ切るわよ」
パワハラしてるよ、私。


「ど、どうしたんですか?美園先生らしくない。前にも言った通り、社長には、とても感謝していて、だから、戦力になって、恩返ししたいんです」

興奮度マックスで、さらに私は話を続けた。
「恩返しって、まさかお母さんの病気に関係ある?」


「美園先生、何か知ってるんですか?」
少し声が震える真田先生。


「治療費は、お父さんが当時働いてた、会社社長、つまり、翔太郎の父親が出していた?ね、どうなの?」


「………はい、そうです。でも、社長のお父様も亡くなられて……」
涙ぐむ声が響き渡る。


「話してくれてありがとう。ちょっと仕事遅れるから、よろしくね」


謎が一つ解けた。
真田先生は、敵ではなく味方だったんだ。
翔太郎の両親に感謝してたんだ。

でも、翔太郎のお父さんは、自分も病気だったはず。

あーあーなんてことが……


辛いきつい悲しい……
やり切れない……