いくらユリウスが近衛騎士団の中では地位が高くとも、王女を連れ出す許可はもらえないはずだ。
王女がワガママを叶える為に騎士を共に連れて行くならありえるだろうが、そんなことをしたらイアンに大目玉をくらいそうでできない。
かといって、イアンに許可をもらおうと相談しても、予知の力のことを懸念していい返事は聞けないことは想像に難くない。
もしかしてイアンが納得するようないいアイディアがユリウスにはあるのかと期待したメアリだったが……。
「見つからなければ問題はないだろ?」
いたずらっ子のようにウインクをひとつ投げて寄越したユリウスに、思わずメアリは口を開けて笑った。
「ユリウスって、結構大胆なんですね」
「意外?」
「はい」
任務中にあくびをするセオの背中を軽く叩いたり、女性に声をかけるルーカスを笑顔で窘めたりと、普段から規律に厳しく仕事は真面目というイメージがユリウスにはある。
こんな、バレたらヤバイようなことは絶対にしないタイプだと思っていたメアリは素直に頷いた。
すると、整った甘い王子様のような顔をぐっとメアリに近づけたユリウスは、色香を漂わせ形の良い唇を動かす。



