「モデストは、マリア王妃を愚かだと言っていたけど、確かに救われてたんだろうな。そうでなければ、メアリの言葉は届かなかったはずだ」

「父様も母様も、すごい人よね」


強く、思いやりに溢れた二人を心に思い描いていると、ユリウスは「君も十分すごいだろ」と励ました。


「私は平凡だわ」

「モデストを止めて、父上を悪夢から救い、俺に決心させたんだ」


それは十分にすごいことなのだとユリウスが伝える。


「決心?」


ガーゼを貼り直したメアリが包帯を手に首を傾げると、ユリウスがくるりと身体を反転し真っ直ぐに視線を合わせた。


「メアリ、俺は君を護る騎士でい続けたい」


ユリウスが紡いだ望みに、メアリは大きな目を溢れんばかりに見張る。


「二度と、君の身体に傷がつかないように、ずっと側で護っていきたいんだ。どうか、許可を」

「きょ、許可って、あなたはヴラフォスの皇子でしょう?」

「そうだけど、皇子が騎士でも問題ないだろう?」