──蜂蜜色の瞳が、真っ直ぐに見つめている。

それは甘く蕩けたように細められ、美しい微笑みにメアリの胸は高鳴った。

幸福に酔いそうだと息を吐いて瞼を閉じると、じわりと熱を感じる瞳。

ああ、これは未来だと悟る。

どのくらい先だろうか。


「ユリウス」


名を紡ぐと、メアリの滑らかな頬に長くしなやかな指が触れた。

唇が愛を告げた気がするが、それは自分だったかユリウスだったか。

もしかしたら互いにだったかもしれないが、唇が重ねられれば、もうどちらでも良くなる。

愛の言葉の代わりに、何度も口づけを交わし、段々と思考がぼんやりとしてきたところで、プツリと糸が切れるように映像は途切れた。

そして、水底から半ば強引に引っ張られる勢いで意識が覚醒したメアリは、瞼を開いた瞬間に顔を真っ赤にする。


「ゆ、夢……?」


ユリウスへの想いを無理に押さえつけている自覚はあった。

溺れかけた時に唇を合わせたこともあり、それ故に都合のいい夢を見たのではと疑ったが、双眸に残る熱は予知を視ていたのだと知らせている。