「いてっ……何ですか、急に」


背中の痛みが一瞬増して、ルーカスを軽く睨むユリウス。

けれど、気にせずにルーカスはニヤついた顔でユリウスの顔を覗き込む。


「良き仲間や友人、ってのは俺らのことだろ?」

「まあ……」

「じゃあ、大切に想う人ってのは?」


問われた瞬間、ユリウスの胸の内で心臓が強く脈打った。


「あ、あなたには関係ないだろう」

「まさかメアリ王女だったり?」

「ルーカス殿、 頼むから黙ってくれ」


告げるべき時は自ら場所と時を選びたいユリウスは声を鋭く諫めたのだが。


「おお、アタリか! メアリ王女はどうだ?」


ルーカスには全く効かず焦る。

だがしかし、当のメアリはどこかぼんやりとしていた。

うっすらと瞳が赤く、ユリウスはメアリがまた未来を視ていたことに気づき、肩を撫で下ろす。


「え? あ、ごめんなさい、今ちょっと未来が」

「ああ、今回の騒ぎでイアン殿から説明があって聞いたぞ。予知の力だろう? 奇襲時の言葉も納得がいったぜ。で、何を視たんだ? あ、俺と相性のいい女の子とかわかるかい?」


ユリウスから離れて、今度はメアリの隣に移動し腰に手を添えるルーカス。


「ごめんなさい。占いじゃないので」

「いででででで!」


お断りするメアリの声にルーカスの苦悶の声が重なる。

ルーカスの手をユリウスが思い切り抓ったのだ。