和やかな雰囲気になればと返した言葉だったが、ユリウスの顔が驚きに染められて気づく。
(く、口説きあいみたいになってる!)
実際、メアリにとってユリウスは魅力溢れる人物だ。
惹かれる部分もないといえば嘘になり、男性として意識もしてるのは否定はしない。
だが、今は恋や愛という甘い感情に振り回されていられる状況ではないのだ。
……ないのだが。
こうやって考えてしまっている時点で、メアリの心はすでに大分ユリウスに傾いているのだと知ってしまう。
心までウロウロと迷子になるわけにはいかないと、誤魔化すように温くなったワインを飲み干すと、喉の奥がカッと熱くなった。
アルコールにより、胸の内で騒ぐ鼓動がさらに速さを増す。
(飲もう! 飲んで寝てリセットだわ!)
寝てしまえば頭の中もスッキリするだろうと、ホットワインをお代わりしたメアリ。
ユリウスは動揺を隠すように口元を押さえていたが、ふと瞳に力が宿る。
「そういえば、イアン殿から手紙がきたそうだ」
「イアン様から!?」
驚きと喜びを半々に目を輝かせたメアリに、ユリウスは静かに頷いた。



