「も、もう大丈夫です」
まだ念のために包帯で固定をしてはいるが、普通に歩くだけなら問題はない。
そう告げると、ユリウスは「それなら良かった」と、手にしていたポットとグラスを二つメアリに見せた。
「じゃあ、これを飲んでも痛みは増さないな」
「それはなに?」
透明なポットには、淡い赤色の液体にオレンジやアップル等の果物が浸されている。
「ホットワインだよ。寝る前に飲むと身体が温まって寝つきが良くなる」
それでもダメなら暇つぶしになるような本でも用意すると提案しながらテーブルに置くと、グラスにホットワインを注いだ。
メアリは椅子に腰掛けると差し出されたグラスを手にとり、お礼を述べてから湯気がのぼる温かなワインを喉に通した。
ユリウスの気遣いが胸に優しく染み込んで、ほんのりとした甘さが口内に広がり、フルーティーな香りが鼻から抜けていく。
「ロッテから、あまり眠っていないと聞いたよ」
向かいの席でホットワインを味わうユリウスに言われ、メアリはいつもよくしてくれるロッテの笑顔を思い出した。



