一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない



──謁見から数日、メアリの足の痛みが引いた頃。


「みんな……元気かな……」


ユリウスから聞いた話によると、フェガリ平原での戦闘はフォレスタット王国の援軍によりヴラフォス軍が撤退し、回避されたとのことだった。

フォンタナをターゲットにしたのはメアリを誘い出し、町も手に入れば一石二鳥だからだと以前ユリウスは言っていたが、よく考えればフォレスタットの援軍を得やすい地でもある。

もしかして、手に入れるのではなく守れると確信して選んでいたのではとメアリが聞くと、ユリウスは『俺はヴラフォスの皇子だよ』と曖昧に答えたのみだった。

だからメアリは勝手にそうだったんだと思うことにしたのだが、情報をきっかけにイアンやオースティン、ウィルやルーカスをはじめとした面々のことが頭から離れなくなったのだ。
そのせいもあり、メアリの不眠は悪化。

せめて月明かりに照らされた庭でも眺めて安らぎを得られれば良かったが、月のない新月の夜は窓の外も暗く、気がかりは増すばかり。

瞼を閉じても眠ることはできず、ただひたすらに振り子時計の音を聴きながら寝台の上で膝を抱えていたメアリだったが、ふいにノックの音がしてロッテだろうと思い「どうぞ」と返したのだが。


「やっぱり起きてたんだな。足の痛みは?」


現れたのはロッテではなくナイトウェア姿のユリウスで、メアリは驚き立ち上がると急いでナイトガウンを肩にかけた。