「当時、人見知りするあなたがメイナード様に抱き上げられても嫌がらなかったのを見て、親子なのだと思わされましたわ」


日々、メアリを育てているユリアナには、その光景は少し寂しさを伴うものだった。

けれど、メイナードがメアリを優しく腕に抱き涙を堪える姿と、病の為に会いに来れなかったマリアの気持ちを思えばそんな気持ちはすぐに霧散したのをユリアナは思い出す。


「わたくしは本当の母ではないけれど、メイナード様とマリアの娘であるあなたを心から愛していますわ。だから、何かあればいつでも訪ねていらしてね」


王女であってもそうでなくても、ユリアナにとってメアリはメアリ。

いつでも帰ってきていいのだと告げたユリアナに、メアリは笑顔で答え、香り高い紅茶の味を楽しんだ。