「メアリ王女様におかれましてはご機嫌麗しゅうございます」


フォンタナに辿り着いたメアリを出迎えたのは、フォレスタットから流れる大きな滝、そして先行していたオースティンとフォンタナの領主だった。

フォンタナの領主はうやうやしい挨拶と自己紹介、そしてヴラフォスの襲撃に備えてメアリが直々に出征したことを感謝し、もてなしてくれた。

どうぞ疲れを癒してくださいと、領主の屋敷で一番良い客室に案内されたメアリは、湯浴みを済ませると着慣れたワンピースを纏い部屋を出る。

すると、部屋の前で警護を任されているウィルが「どこへ?」とメアリに尋ねた。


「オースティン騎士団長のところへ、ユリウスのことを聞きに行こうかと思って」


常であればここで警護しているのはユリウスか、第三部隊の者だ。

けれど、隊長であるユリウスが不在の今、第三部隊ではなくルーカスが指揮する第二部隊が代わりにメアリの護衛を勤めることになった。


「まだ新しい情報はないとさっきセオから聞いた」

「そう……」


肩を落とすメアリを見て、ウィルは「あー……」と言葉を探す。