仕事を休んだその日、インターフォンが鳴った。

もしかして拓真さん?

私は慌てて玄関に走った。
扉を開けると、そこには翠が立っていた。

「誰だと思ったの?人でなし?」

「ううん、どうしたの?」

覇気なく喋る私の背中を思いっきり叩いた翠は、何弱ってるの!と。

「この間、言いかけた事は、これよ。もしかしたら、奥菜さんが彼女の元に戻ったのかも?ってね」

「え?か、彼女って…」

別れたって言ってたじゃない。まだしつこく言い寄ってるだけ、だって…

「そんな事はない、って顔してるけど、答えがこれじゃない?妊娠してないのなら、結婚する必要もなくなったから、この機会に別れようとしてるのよ、香里と。ここまでゲスだとは思わなかったわ、あいつ」

翠は怒りに満ちていた。
自分が誘った合コンだけに、責任があるとまだ思ってるようだったけど、こうなったのは、私自身だし、責任に感じてもらわなくても…

「…どうする?確かめる?橋本さんじゃないルートで、相手の人の事、探ったけど、確かめたいなら教えるよ」

翠の行動力に私はただ、驚いていた。

聞きたい、だけど…これを聞いてしまったら…

私は後に引けなくなる。


悩んだ私は答えを出した。


「教えて、翠」