「私、柴優乃と言います。
那智と付き合っていて雷妃になりました。

‥‥よろしくね?」





雷妃(らいひ)

雷光の姫の呼び方で、総長の彼女である者に渡される名前。




『どーも。』




幹部が認めなくても、副総長が認めなくても、最終決定権は総長だ。

総長が気に入っているなら俺らは従わざるを得ない。

その上、幹部も認めているとなれば俺に反対の余地はない。




「なんか態度冷たくなぁーい?」


「私、何かしちゃったのかな?」


『そんなことねぇよ。
ただ‥‥‥‥‥‥』






覚えてないよな。

そりゃそうだ。
こいつは直接手を出した訳じゃないからな。

ただ、〝指示した〟だけだ。

間接的にではあるが、〝俺たちの居場所を壊せ〟と。


直接的に手を下されたわけではない。
こいつに指示されたやつらも、何もしていない。

分かってる。


だが、こいつが指示さえ出さなければ何も起こらなかったのも事実なんだ。