…………さて、前置きが少し長くなったが、これで私がいかにこのテストが嫌いなのか伝わったかと思う。
去年は全く声が出ず歌えなかった記憶がある程だ。

ただ今年はしっかりと声を出そう!と意気込み、テストに挑んだ。
意気込みだけは良かった、意気込みだけは。

私の番は9番目。
それまで他の人の発表を聞きながらプリントに感想を書く。
「声がよく出ていた。」
「声がとても綺麗だった。」
「音程がしっかりととれていた。」
みたいに、月並みな言葉をただ並べてた。

自分の番。
声は出ていた。どもらずに、はっきり歌えた。
アルトパートだけが歌う所も、間違えずに歌うことが出来た。
だが……………………

「アルト死んでるw」
「バス2人いるやんwww」
「バス2人も要らんのやけどww」
「低すぎやろww」

直接ではないが、こんな声がチラチラと聞こえてきた。
その声はいつもの調子乗ってる男子達で、
軽い感じで言っているのが聞こえた。

確かに今回は自分でも分かるほど低かったと思う。バスにつられたかもしれないと思った所もあった。
ただ、実際に言われると………流石に辛い。

気づくと私は泣いていた。
……………………これだから歌のテストは嫌いだ。

私は周りの人に泣いてるのが分からないように顔を擦る。
今回は涙の量が少なくて助かった。

その男子達にとっては何気ない言葉だと思うが、私にとっては心に深く突き刺さる、重い重い言葉だ。