優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。



 ちょっと埃臭くて、ちょっと古い駄菓子屋の奥、ざらざらした椅子に座り、色あせた水色のチェックのテーブルシートの上は、飛び散ったかき氷の氷で濡れていて――蝉の声が遠くでする。

 そんな場所で、クラスの人気者の彼とメガネザルって言われるような可愛くない私。

 そして一人だけ真っ赤になった私。

 私だけ、きっとおかしいんだ。

 彼が普通にしてるから、普通にしなくちゃいけないのに。

 だから私は目を閉じて、ぱくっとかき氷を食べた。
 メロン味のシロップを確かめる。うん。メロン味だ。

「次はイチゴいくよ」
「お、お願いします!」


 ドキドキと小さく口を開けた。
 すると眼鏡がぐっと押された。押されたというか眼鏡に押し付けられてる?
――眼鏡?

なんで眼鏡って思って目を開けようとしたら、唇に温かい何かが触れた。

甘い香りがする――けど、氷じゃない。
 これは――。

「うわー、中学生がキスしてる!」
「ぎゃー、にげろ」

 駄菓子の前でお菓子を選んでいた小学生たちが逃げていくのと、私が目を開けたのはほぼ同時。