「独り占め?」

「俺のことがかばってくれる蕾を、俺だけが見ていたかったってこと」
へへって笑われたので、つられてへらりと笑い返した。

どうしよう。男の子と寄り道って初めてだし、緊張しすぎて陣之内くんが何を言ってるのか意味が、よく分からない。

「まじで!? ここまで頑張ったのに意味わかってなくねえ?」
「意味! 意味わかってる! 意味って言うのは、言葉が表す内容ってことで」
「ちげーって」

ぷはっと笑い出した彼が、テーブルに突っ伏してバンバン叩きながら笑い出した。
その音に、駄菓子を選んでいる子供たちが驚いてこっちを覗きだす。

彼は携帯が弾けるほどテーブルを叩いてひとしきり笑った後、顔をあげた。

「やべえ。俺、蕾がめっちゃ好きだわ」
「す、すき?」

「うん。めっちゃ好き。紗矢にはそっこうでバレてたんだぜ、あんた、蕾見すぎよって」
 紗矢の声色を真似てるのかもしれないけど、私は信じられなくて目を見開いて呆然とした。

「あの、陣之内くんって格好いいし女の子の友達多いし」
「お、ヤキモチ? 大丈夫。俺はこうみえて純情くんだ」

「いえ、そんな意味ではなくて、私みたいなメガネザルではなくて紗矢みたいな綺麗な子と付き合った方がいいのでは?」